「新春来福」を美しく書くコツ
各文字(新・春・来・福)を美しく書くコツ
今回は書初めにおすすめの言葉について解説させていただきます。
今回は「新春来福(しんしゅんらいふく)」です。
新春来福とは、新しい年に幸福が来ることをお祈りするという意味があります。
「新春来福」の中で「新・福」の画数が多いため、文字内の余白が小さくならないようにやや大きく書くことがポイントです。
反対に画数が少ない「来」は、文字が大きくなりすぎると間延びしてしまうため、気持ち小さく書くことがポイントです。
そして、「春」はその間ぐらいの大きさに書きます。
楷書では、一画一画を丁寧に書いていきましょう。
「新」を楷書で書くときのコツ
横線が複数ある文字のときは、長さに変化を作ることで躍動感のある文字となります。
3つの横線の中で2画目を一番短く書くのですが、5画目と6画目のどちらを長くするかは、教材によって異なります。
今回は、5画目を長めに書かせていただきました。
また、2画目と5画目、6画目の角度は「やや右上がり」になるように書くとバランスが良くなります。
縦線を長く書くことにより、文字がスタイリッシュな印象になります。また、併せて8画目、9画目のはらいをできるだけ短くすることにより、7画目の両サイドに余白ができて、よりゆとりがある印象になります。
※13画目よりは短く書きます。
13画目の縦線を7画目の縦線よりも長く書き、7画目の下に少し余白を作る方が美文字に仕上がります。
7画目や13画目のように他よりも長い縦線は、少し太く書くと、どっしりと構えた印象になり、文字のバランスが安定します。
「春」を楷書で書くときのコツ
「春」ははらいが左右(4画目、5画目)にあるため、その線質に特にこだわることでより美しく見せることができます。始筆には力を入れて、終筆部分に向けて少しずつ力を抜いていくことが大切です。
1画目から3画目の横線の長さに変化を付けることがポイントです。
真ん中である、2画目を、1画目と3画目よりやや短く書くことにより、メリハリ(くびれ)がある印象になります。
横線と横線の間の幅を等間隔にすることによって、バランスが良い文字に見せることが出来ます。それに加えて、下側をはみ出すことにより、文字が安定して見えます。
縦線と横線の太さに変化を付けることで、立体感が増し楷書のメリハリがより出ます。
また、これに加えて日の左側の縦線(6画目)よりも右側の縦線(7画目)をやや太くします。縦線が左右にあるときは、右側を太くすることがポイントです。
「来」を楷書で書くときのコツ
1画目より、4画目を長く書くと、文字が安定して見えます。長さに加えて、太さにも少し変化を出すと躍動感を見出せます。
4画目を1画目より細くすると、すっきりして見えます。
縦線と横線の長さに変化を付けることで立体感が増し、楷書のメリハリがより出ます。
縦線の中でも特に長い画、或いは文字の中心部に該当する画は、他の縦線よりもやや太く書くことで、文字のバランスが安定します。
6画目の左はらいは、4画目と5画目の交わっている点よりも左側から書き始めましょう。
軽やかに短く書くことによりすっきりとした印象になり、文字の下の箇所にゆとりができ5画目の長さを強調することができます。
「軽やかに書く」というのは、筆の穂先を半紙に軽く付けて書くということです。
なるべく長く書くことを意識すると、文字のスケールが大きく見えます。
6画目の左はらいより、大胆に書きましょう。
※左右のはらいで角度の違いはございません。
「福」を楷書で書くときのコツ
縦線を長く書くことにより、文字がスタイリッシュな印象になります。
4画目をできるだけ短く、2画目も3画目よりも下にならないようにすることで偏の下の箇所に余白ができて、文字にゆとりがうまれます。
文字の頭に該当する箇所を小さく書くことにより、文字が頭でっかちになる印象を防ぐことができます。小さく、そして軽やかに書きましょう。また、これにより、口や田が大きく見えます。
文字は一点を強調することにより、より美しく見せることができます。
「福」という漢字において、10画目は文字の中の見せ場です。
田の横線を長く書くことでメリハリのある文字に仕上がりますので、概形(シルエット)が横長になるように意識して書きましょう。
10画目は、横線を細長く、縦線を太短く書きます。
縦線部分は長く書かない代わりにゆっくりと時間と圧力をかけて書きましょう。
各文字のポイントを押さえて綺麗な「新春来福」を書けるように練習してみましょう!
行書のお手本
行書は流れるように書くことで文字が躍動的に見えます。常に次の画のことを考えて書くことにより、一文字の中の繋がりがあるように見えます。
どの文字も点画を連続させすぎると余白が狭く見えてしまうため、一部だけ点画を連続させて書きました。 軽やかに手の力を抜いて書きましょう。
草書のお手本
草書は余白を充分にとることにより、安定した印象になります。
紙面上、作品構成をゆとりがあるように見せるためには、草書を使用することをおすすめします。日本では、掛け軸で使用されていることが多いです。
隷書のお手本
隷書は、扁平かつ水平な書体で、文字の中に「波磔」があるのが特徴です。
本格的な書表現に挑戦してみたい方には、隷書がおすすめです。中華料理店の看板でよく見られる書体ですね。
篆書のお手本
篆書は縦長の字形が非常に多く、線の太さも基本的には均一にします。鋭い印象の書体です。
そのため、文字の背が高くてすっきりとした印象にみせたいときにおすすめの書体です。
身近なものですと、パスポートの日本国、という文字が篆書です。
書道アート風に書いた作品
書道アートの分野においては、「古典書道」の概念から一度離れることが大切です。
始筆や終筆、そして運筆の方法は、書道アートのときには従来の本格中国書法の書き方とは大きく異なります。書道初心者の方が筆文字に触れて、その成果を少しでも早く作品にして公表したい、というときにおすすめの表現方法です。
いかがでしたでしょうか。同じ書道の文字でも、書体が変われば文字の雰囲気も多いに変わります。皆様も、是非、様々な書体で書道を楽しんでみてくださいね。
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