硯に関する基礎知識

目次
硯

硯とは

 すずりとは固形の墨を摩り下ろして液体状の墨にする道具です。が、習字には墨汁を使うのが主流となっている今日では、硯=墨を溜めておくためのバケツのようなものだという認識がされていることと思います。(ちなみに、墨液をただ溜めておくだけの墨池という道具もあります)後者の使い方ではそこまで硯の違いにこだわる必要はありませんが、前者である本来の硯の使い方をする場合、硯の良し悪しが墨の出来を左右すると言っても過言ではありません。

 硯は筆や墨と違って消耗品ではありません。正しく使い、お手入れをしていれば半永久的に使用することができます。ずっと使い続けるためにも、硯の特徴や保存方法をしっかりと把握して硯を選びましょう。

硯の部位と名称

 意外と知らない硯の各部分の名前を紹介します。

硯の部位とそれぞれの説明
名称 画像 説明
/墨池ぼくち /硯沼けんしょう
海
磨った墨を溜めておく場所
/おか /墨堂ぼくどう /揚げ
丘
墨を磨る場所。筆に付いた墨の量を調整するときも使用
鋒鋩ほうぼう
鋒鋩
墨を磨る際にやすりの役割を果たす。使いすぎるとすり減るため時々研ぐ必要がある
/硯純けんじゅん
縁
文字通り硯の縁。硯によっては縁が無いものや上部だけしか縁がないものもある
硯側けんそく /硯旁けんぼう
硯側
装飾がされたものもある。硯によっては硯側が広いために硯全体が高いものもある
太史硯・挿手硯
硯面けんめん /硯表けんひょう
硯表
装飾がされたものもある
硯陰けんいん /硯背けんはい
硯陰
硯によっては一応墨を磨ることができるものもあるが、おすすめはしない
落潮らくちょう /舌 /波止
落潮
陸で磨った墨を海に落とす他に、筆に付いた余分な墨を落とすときに使う