書道の時左利きは矯正した方がいい?
左利きでも書道はできる!
書道をする時左利きは矯正した方がいいのでしょうか?
結論から言うと、左利きでも書道はできるため、無理して矯正する必要はありません。
かつては左利きを矯正して右利きにすることが、当たり前のように行われていました。実生活で、右利きであることを前提とした道具(ハサミやグローブなど)しか無かったことが大きな原因のひとつです。
左利きの子どもが生活するうえで不便を感じないようにという気持ちから、多くの親が子どもに右利きへの矯正をしてきたと思われます。
しかし、最近は 左利き用の道具も多いため、無理に利き手を矯正する必要はないと考えられます
矯正の必要はないがデメリットがある
わざわざ右利きに矯正する必要はないものの、左利きによるデメリットがあるのも事実です。
日本の教育で習う「漢字」や「ひらがな」は、右利きの人が書きやすいように進化をしてきました。
特に漢字は左上からスタートする書き順が多いため、筆を持った自分の手で書いた線を隠してしまう左利きは、運筆しながら字のバランスをとることが難しくなります。
また、「一」などの横線を書く時、右手だと線を引くように書くことができますが、左手だと左から右に向かって押すように書くことになります。そのため、半紙が破れてしまったり、高確率で小指が汚れてしまうというデメリットもあります。
これらのデメリットを踏まえて、右手に矯正することもひとつの手段ですが、テクニックを身に着けることでデメリットを補うことも十分可能です!
大事なのは書道に楽しく取り組めるかどうか。利き手から非利き手へと矯正することは、大人が思っている以上に子どもにとってはストレスとなってしまっている可能性があります。
本人が苦しく感じたり、書道を嫌いになったりするのでは意味がありません。そのため、無理強いすることなく本人の意思を尊重することが重要です。
左手で上手に書くための3つの方法(おすすめ順)
正座筆法
正座筆法の図
正座筆法とは、半紙を体の真ん中ではなく左側へとずらして置く方法のことです。
左利きの場合、半紙を体の真ん中へ置いて書く一般的な筆法では、「一」などの横線を書くとき左から右に向かって押すように書くことになります。しかし、左側へずらすことにより、横線を引いて書きやすくなります。
また、書き途中の線が自分の手元で見えなくなるというデメリットもなくなり、自然と手を動かすことができます。
とある検証の結果をみると、半紙を体の真ん中に配置すると書きにくいが、左側に配置したら書きやすくなったと答える人が多かったといいます。半紙の位置をずらすだけのため、学校で習う書写や習字の授業時に最も実践しやすい方法です。
横書き筆法の図
横書き筆法の図
半紙を自分の体の正面から右方向へ90度回転させて置きます。
このように縦長の半紙を横長になるように寝かせて置くことで、横線を縦線と同じ感覚(上から下に引く感覚)で書くことができるため、「押して書く」ことがなくなります。
しかし、こちらの筆法では
- 字形が90度回転するため、全く違う文字を書いている感覚になる
- 何を書いているのか分からなくなりやすい
- 不自然な筆使いになりやすい
などのデメリットもございます。
押すのではなく引く線を書けるようになるというメリットもございますが、頭が混乱しやすいというデメリットもあり、こちらの筆法を実際に経験した方の多くは「可もなく不可もなし」と答えているといいます。
斜め書き筆法
斜め書き筆法の図
半紙を自分の体の正面から右方向へ約45度傾けて置きます。
このように斜めに置くことで、真横に書く線を「押して書く」から「斜めに引いて書く」にかわるため、書きやすくなります。
線の書き方が押すから引くに変化したことにより、運筆がスムーズになり、右利きの方と同じ運筆に近づけることができます。
しかし、こちらの筆法では
- 完成した文字が傾いてしまう傾向がある
- 手元が見えにくい
- 文字の向きがわからなくなる
などのデメリットもございます。
とある検証の結果をみると、通常の置き方(体の真ん中に置く方法)よりは書きやすくなりますが、他の筆法に比べると書きにくさがあまり軽減されていないようです。
まとめ
左利きで書道を行う方法をおすすめ順にご紹介しましたが、書きやすいと感じるかどうかは個人差があります。
そのため、今回ご紹介した3つの筆法と紙を真ん中に置く通常の筆法の中から、ご自身に合った方法を見つけるのがベストといえます。
今回は左利きでも無理なく書けるコツなどを紹介しましたが、硯を左側に、見本を右側に置くだけでも随分と動作が楽になります。
これに限らず左利きで書道を行う本人が書きやすいと感じる工夫を、従来の固定概念に縛られずどんどん試してみるのがおすすめです。
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