習字で「心」を書いてみよう！～楷書・行書・草書・隷書・篆書～

　楷書はみなさんが小学校などではじめに習う書体であり、書の基本です。履歴書や宛名書きなど正しくキレイな字“美文字”が求められる場でも使われている書体です。そんな楷書での「心」の書き方をまずは覚えましょう！

　美しい文字に見せるポイントは4つ！

その1：1画目は少し反らして書く

　1画目の縦線は、真っすぐ直線よりも少し反らして書くとメリハリがある美しい文字に見えます。線の真ん中の部分が少し右に膨らむイメージで書きます。

その2：2画目を徐々に太くしていく

　「心」は画数が少ないため、どうしてもスケールが小さく見えます。そのため長い線の点画(今回の場合2画目)を大きく書くことでメリハリ（強弱）のついた文字に仕上がります。

その3：2画目の跳ね上がり部分の延長線上の左側に3画目、右側に4画目を書く

　2画目の跳ね上がり部分の延長線上の両サイドを点画で囲むことにより、余白が広い文字に見せることができます。

その4：全ての点画の最終部分は速度を落として書く

　画数の少ない文字であればあるほど、1画ずつが目立ってしまいます。そのために筆の穂先の最後の1本まで見届けるようにゆっくりと丁寧に書くことが大切になります。

　ポイントを押さえて綺麗な「心」を書けるように練習してみましょう！

　「心」の書き順はこちらを参考にしてください。

　行書は楷書を崩した書体で楷書よりも短時間で書けるという利点があります。

　手紙や走り書きでメモを取る時など、素早く書きたいときに使える書体です。

　など

　どちらも行書になるため、崩し方によって文字の雰囲気はガラリと変わります。

　今回は「心」をより速く書くコツをお伝えします。「心」を素早く書くためには、「筆脈を意識して書く」書き方が一般的です。常に次の画のことを意識して運筆することにより、文字に躍動感が生まれます。

　「心」を行書で書く時、3画目と4画目を連線で書くことも可能ですが、余白が狭く見えるため今回は画数を省略せずに書く時の書き順画像をご用意しました。

　草書は画数が非常に少ないため、 文字に余白を作りたいときに有効的な書風であります。

　掛け軸などで見かける英語の筆記体のような書体で、まるで暗号のように簡単に読み解くことができない書体です。書道を極めていく方たちが習う書体であるため、日常生活の中で使うことはほとんどございませんが、草書の勉強をすることにより、古文書の読み解きができるようになるなどの楽しみが増えます。

　草書で「心」を書くときのポイントは、流れを意識して書くということです。草書には書き方の多様性がありますので、今回は、より躍動的に見えるような字形を選択しました。そうすることによって、画数の少ない「心」もスケールの大きい文字に見せることができます。

　隷書は主に横に平べったい文字で、日本の紙幣で使われている書体です。お札を見てみると「日本銀行券」や「壱万円」といった文字が書かれていますよね。その書体が隷書です。

　他にもお店の看板やお菓子やお酒のパッケージなどにも使われているので、探してみると意外と身の回りで見つけることができる書体です。

　そんな隷書は基本的に　一定の速さで書き進めて、水平に書くことがポイントです。楷書や行書などは右上がりを意識していくことが大切ですが、隷書の場合は右上がりになってはいけません。

　隷書で「心」を書くときのポイントは、 平らに書くということです。「心」は2画目の横線をできる限り平らにして書くことにより、文字が全体的に横平らに見えるようにしました。

　篆書はパスポートや印鑑(印章)で使われている書体で、漢字の中で最も古い書体です。パスポートの表紙に独特な字形で「日本国旅券」と書かれていますよね。その書体が篆書です。篆書は縦長の字形が非常に多く、線の太さも基本的には均一にします。

　楷書・行書・隷書で書いた「心」は似たような字形をしていましたが、篆書で「心」を書くと異なる字形になります。

　そんな篆書で「心」を書いたときのポイントは、文字の上半分を左右対称に見えるように書くことです。篆書は印を彫るときの原稿に用いる書体としても使われることが多いのですが、この左右対称に書くことを意識することにより、文字に安定感を見出すことが出来ます。

　草書・隷書・篆書は、中国古典を学びながら、字形を覚えていきます。日本においては書道教室の先生が中国の古典を元にして臨書した作品をお手本にして学ぶことが多いです。