写経をしてみよう

目次
写経

写経とは?

 写経とは仏教で経典という釈迦が説いた言葉を書き写すことです。古来より、写経は僧侶の修行の一つとして行われていました。まだ印刷技術の乏しい(無かった)時代では、仏教を広めるためには経典を複製しなければなりません。そこで、経典を一つ一つ手書きで書き写していました。これが、日本での写経の始まりであると考えられています。

 写経は仏道修行の一部でしたが、時代が下るにつれて写経という行為に功徳があると考えられるようになり、次第に祈願や供養のためにも行われるようになりました。現代でもこの流れを受けて写経が行われています。

 写経で一番多く用いられている経典は「般若心経」です。が、宗派によっては写経を行わないところや違う経典を用いるところもあります。自分の宗派の経典を書写しなければならないということではありませんが、気になる方は調べておきましょう。

流派による写経の違いの具体例
  • 浄土真宗では写経を行わない
  • 日蓮宗は「妙法蓮華経」

写経の目的

  • 信仰のため
  • 供養のため
  • 祈願のため
  • 学びのため
  • 心の安らぎのため

 現代で写経をする主な目的として上記5つのような目的が挙げられます。「供養」や「祈願」といった目的は古来より受け継がれてきた写経の目的とほぼ同じです。が、現代では最後の「心の安らぎ」を求めて写経をする方が増えてきているようです。無心になって黙々とお経を書き写すことで精神を統一し、心の落ち着きを得ることができます

写経の心得

 写経では仏の言葉に触れるので、始める前に心身ともに清めておきましょう。手や口の中を洗い、清潔な服装をし、心を落ち着かせたらようやく筆を取ります。

 写経では、お手本となる経典を臨書します。最初は透明感のある紙を使ってお手本を敷き写しても構いません。写経では字の上手い下手は問われません。一文字一文字が仏の教えです。心を込めて、あるいは雑念を捨てて書けばいいのです。大切なのは書き間違えないように意識を集中して、仏の精神世界にほんの少しでも触れようとすることです

 最後に書き写したお経は納めましょう。写経は仏の言葉です。決して粗末に扱ってはいけません。お近くの納経所があるお寺で納めましょう。

 自宅で写経を行うのはどうも落ち着かない、初めてで勝手がわからないという方はお寺に赴いて行うのがおすすめです。全国には宗派を問わずに写経体験をすることができる寺院があるので、興味のある方は行ってみてはいかがですか。

写経におすすめの道具

  • お手本となる経典:最初は短めの「般若心経」がおすすめ
  • 小筆:毛先が尖って少し硬めの筆(イタチや猫の毛のもの等)が書きやすい。直径4~5mm、長さ20mm前後の物が書きやすい。筆ペンでも可
  • 油煙墨の和墨がおすすめ。墨汁よりは固形墨を用いる方がいい。一度にたくさんの墨を磨っておくより、書きながらその都度磨るべし
  • :たくさん墨を使わないので小さめのもので
  • 三椏、雁皮の写経専用の用紙がおすすめ。初心者のうちは罫線が引かれた薄いものを使い、慣れたらかな用の料紙でも

 普段書道で使っている道具をそのまま使っても構いませんが、本格的に写経を始めたい方は新しく購入しましょう。その際は写経道具が一式揃ったものがおすすめです。