筆の種類と適切な筆の選び方

目次
剛毛・柔毛・兼毛筆

筆を選ぶ際のポイント

 書道をする際に欠かすことができない道具は筆です。しかし一口に書道用の筆といっても、長さや太さ、毛の原料などにより様々な種類の筆があります。その中から最適な筆を選ぶ際のポイントを紹介していきます。

良い筆の条件

 書道用の筆は「せん」「さい」「えん」「けん」の「四徳しとく」が揃っているものが良いと言われています。

  • 「尖」……筆の先端である穂先が尖っていて、まとまりのあること
  • 「斉」……穂先が綺麗に整っていること
  • 「円」……墨を含む部分である穂が綺麗な円錐状になっていること
  • 「健」……穂に程よい弾力があり、しなやかであること

を意味しています。これらの四徳を基本として、書体や半紙の大きさなどを考慮しながら筆を選びましょう。

穂の太さ

 穂の太さによって書きやすい字は大きく異なります。穂が太い筆は大きい字や短い文字を書くのに適しています。逆に細ければ細くなるほど、より細かい字を書くのに適しています。

 筆は、持つ部分である軸の太さによって1号から10号に分類されます。数字が小さくなるにつれて筆は長く、穂は大きく太くなります。(軸が竹でできた筆に限る)

穂の太さと筆の名称と用途
号数 用途
太筆(大筆) 1~4号 書き初め、半紙
中筆 5~7号 半紙、色紙
小筆(細筆) 8~10号号 封筒、手紙

穂の長さ

 軸の太さに対する穂の長さによって、長鋒ちょうほう中鋒ちゅうほう短鋒たんぽうの三つの種類に分けられます。

  • 長鋒……穂の長さが軸の太さの5~6倍以上あるもの
  • 短鋒……2~3倍以下の長さのもの
  • 中鋒……長鋒と短鋒の中間の長さのもの

 穂が長いものほど草書や行書といった滑らかな字に適し、短いものほど楷書や写経といった硬い文字に適しています。ですが、穂が長くなるにつれて扱いは難しくなるので初心者の方は穂が短めの筆を選びましょう。

筆の原料

剛毛筆・柔毛筆・兼毛筆
左:剛毛筆     中央:柔毛筆     右:兼毛筆

 筆は原料から柔毛筆じゅうもうひつ剛毛筆ごうもうひつ兼毛筆けんもうひつという三種類に分けることができます。これらの筆は、使用されている動物の毛によって異なる特徴を持っています。

 初心者の方に最もおすすめする筆は兼毛筆です。ある程度筆に慣れてきたら、目的に合わせて徐々に柔毛筆や剛毛筆を使用してみましょう。

 この三種類の筆についてはそれぞれの項目で詳しく説明します。

 他にも軸の長さや軸の形状も判断材料になりますが、筆を選ぶ際に大切なのはそれぞれ筆の特徴を理解し、書く字によって最適な筆を見つけることです。実際に使用してみて、自分に最も合った大きさ、種類、書き心地の筆を見つけましょう。