筆記具による違い
概要
日常生活では場面によって筆記具を使い分けますが、なぜ使い分けるのか疑問に思ったことはありますか。その答えは筆記具によって書かれた文字が与える印象が異なるためです。自分がどの目的で硬筆を学ぶのかによって使う筆記具は異なりますので、それぞれの硬筆の特徴を知っておきましょう。
鉛筆
鉛筆
筆記から描画や書写まで幅広く使われているものです。公文書や契約書類などには使用できませんが、硬筆を練習するのに最も適している筆記具です。
特徴は、筆圧の変化によって線に表情を付けることができることです。はっきりとした線から流れるような線まで書くことができるうえに、濃淡まで付けることができます。また、芯の状態や種類によって鋭い文字を書いたり、柔らかな文字を書いたりできます。毛筆ほどではありませんが幅広い表現をすることができる点が鉛筆の利点です。
ちなみにシャープペンシルは基本的に鉛筆と同じですが、鉛筆に比べて芯が太くなりにくく、濃淡が付きにくいという点が異なります。
ボールペン
ボールペン
日常生活で最も出番が多いペンだと思います。ボールペンは、ペン先に内蔵されているボールが紙の上を回転することで軸の中のインクが出る仕組みになっています。
一番の特徴は書いた線が力加減や書く速さに左右されず、太さや濃淡がほぼ均一にであることです。そのため常に安定した線を書くことができますが、その分強弱が出ないので表現性に乏しくなってしまいます。
フェルトペン(マーカー)
フェルトペン
ペン先にフェルトや合成繊維や合成樹脂を用いた筆を総称してフェルトペンといいます。マジックペンやサインペンなどもフェルトペンの一種です。ペン先は極太から極細、角張ったものから丸いものまで多彩です。主にボールペンでは心もとない場面で使われます。書道や習字では先がとがっている種類のペンを使用します。
ペン先が柔らかめなので、ボールペンに比べると強弱がつけやすいです。鉛筆とボールペンの中間的存在かもしれません。墨やインクとは違って書いてすぐに乾きます。大きめの字を書くのが得意ですが、細かい字を書くのが苦手です。
万年筆
万年筆
万年筆は紙とペン先が接触することによって、ペン先の切れ込みからインクが出るという仕組みを持ったペンです。見た目もかっこいいので、持っているだけでおしゃれな気分になります。
万年筆の特徴は筆圧やスピードを調整することで、表現豊かな文字を書くことができます。万年筆は非常に軽い力で書くことができますが、筆圧によって字の太さを変えることができます。そのため他のペンでは表現することが難しいとめ・はね・はらいを上手に表現することができます。(それでも毛筆の表現には程遠いですが)
万年筆に似たようなペンにデスクペンというものがあります。一般的に携帯できるものが万年筆、できないものがデスクペンとされているようですが、近年ではボールペンタイプのデスクペンも誕生しています。万年筆よりも細字のものが多いようです。
つけペン
つけペン
インクにペン先を浸しながら書く筆記具です。パーツがペン軸とペン先に分かれており、ペン軸にペン先をつけることで使うことができます。インクが出る仕組みは万年筆とおなじです。万年筆との違いは、ペン先と軸に分かれているという点と手動でインクをつけるという点です。
ペン先は、丸ペン・Gペン・カブラペンというような種類があり、付けるペン先を変えることによって異なる趣の線を書くことができます。硬筆習字ではサジペン(カブラペンの一種)がよく使用されます。
つけペンの軸にはインクが搭載されていません。したがって、ボトルインクにペン先を浸して書きます。つけるインクの量によって字の雰囲気が変わります。この点は毛筆に近いです。
筆ペン
筆ペン
ペン先が毛筆のような形をしているペンです。筆ペンは力の強弱によって字の太さや趣を変えることができます。万年筆やつけペンよりも毛筆に近い表現をすることができます。ご祝儀袋や熨斗袋に名前を書く時に用いられます。
毛筆との大きな違いは、毛先の原料と墨の有無です。毛先が合成樹脂でできているため弾力があり、書いても穂先が元に戻るので毛筆のように形を整える必要がありません。また、筆ペンは軸の部分にインクが内蔵されています。書く度に墨を付ける必要がなく、すらすらと流れるように字を書くことができます。
書き心地は毛筆と全く異なりますが、手軽に毛筆風の字を書くことができるという点が最大のメリットです。なお、筆ペンは硬筆書写技能検定での使用は認められていないので注意してください。
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