硯の選び方 見た目で選ぶ!

概要

 硯の中には材料となった天然石の模様がそのまま残ったものがあります。この模様は観賞の際に重視されるのであって、墨を磨るときには関係ないのでは?と思う方も多いのではないでしょうか。実は、少し関係があるのです。ここでは、特に唐硯に見られる模様について紹介します。

歙州硯

模様で選ぶ!

 硯に見られる模様によっては濃い色の墨を磨る時間を短くすることができるものや、逆に墨を磨るのを妨げてしまうものもあります。紋様は端渓硯たんけいけん歙州硯きゅうじゅうけんと言う中国産の硯でよく見られます。日本製の硯に見られる紋様は墨の出来にほとんど関係はありません。紋様と磨墨の向き不向きの関係は以下の通りです。

硯の紋様と墨の向き不向きについて
紋様 向き不向き
硯の種類 模様の名前
端渓硯 青花せいか
魚脳凍ぎょのうとう
蕉葉白しょうようはく
氷裂紋ひょうれつもん
杉目斑すぎめはん
金線 ※1
銀線 ※1
火捺かなつ
朱瑳釘しゅさてい
鉄線
白線
がん -
黄龍紋こうりゅうもん -
歙州硯 魚子紋ぎょしもん ※2
羅門らもん ※2
金星きんせい ※3
金暈きんうん ※3
金環きんかん ※3
上記以外の紋様
その他 和硯 -
  • ※1……鉱物性の紋様の場合。石と同じ質を持つ泥金でできた紋様ならさし支えない
  • ※2……紋様の間隔が狭いもの
  • ※3……多すぎるものは引っかかって向かない

 墨を磨るのに向いていない紋様はどちらかというと観賞の際に評価されるようです。

 紋様が入った唐硯はどれも高価なものばかりです。決して高い硯を使えば良い墨を磨ることができるという訳ではありません。せっかく実用的な硯を求めて高価なものを買っても、墨との相性が悪かったら非常に勿体ないので、どうせなら紋様のある硯でも墨に向いているものを選びたいですね。