「謹賀新年」を美しく書くコツ
各文字(謹・賀・新・年)を美しく書くコツ
今回は、お正月で使用する文字について解説させていただきます。
「謹賀新年」の中で 「謹」の画数が多いため、文字内の余白が小さくならないようにやや大きく書くことがポイントです。
反対に画数が少ない「年」は、文字が大きくなりすぎると間延びしてしまうため、気持ち小さく書くことがポイントです。
これらのポイントが顕著に挙げられた書体として、「楷書」が挙げられます。
楷書では、一画一画を丁寧に書いていきましょう。
「謹」を楷書で書くときのコツ
「謹」は「口」の部分のはみ出す場所が大切です。下と右側がはみ出るように書きます。
旁の部分は横線が複数あるため、その長さに差を付けることが大切です。
15~17画目のうち、16画目を短くすることでくびれができ、メリハリがつきます。
毛筆の楷書により躍動感を出すためには、本来1画で書く文字を2回、或いはそれ以上に分けて書くことが大切です。
14画目の縦線の最終部分が17画目の横線の中心部と交わります。その交差点のところで一時停止するようにしましょう。
この技法は、中国書法独自のテクニックです。縦線を太く、横線を細く、さらに線の長さに変化を付けることで文字に立体感が増しますので、メリハリをつけて書きましょう。
「賀」を楷書で書くときのコツ
「賀」は左はらいが2か所あるため、その線質に特にこだわることでより美しく見せることができます。始筆には力を入れて、終筆部分に向けて少しずつ力を抜いていくことが大切です。
また、「口」に関しては、「謹」と同様、はみ出す箇所を意識することが大切です。それに加えて、「口」において2画目の後半にあたる、ななめ線を少し太く書くことがポイントです。
横線と横線の間の幅を等間隔にすることによって、均一感のある楷書に見せることが出来ます。慎重にゆっくりと書いていきましょう。
この文字も「謹」と同様、縦線を太く、横線を細く、さらに線の長さに変化を付けることで文字に立体感が増しますので、メリハリをつけて書きましょう。
「新」を楷書で書くときのコツ
横線が複数ある文字のときは、長さに変化を作ることで躍動感のある文字となります。
3つの横線の中で2画目を一番短く書くのですが、5画目と6画目のどちらを長くするかは、美文字の教材によって異なります。
今回は、学校教育の教科書に合わせて6画目を長めに書かせていただきました。
また、2画目と5画目の角度は「平行してやや右上がり」になるように書くとバランスが良くなります。
6画目と7画目の交わる部分、すなわち「木」のクロスする(十字)部分は真ん中ではなくやや右よりにした方が、中心に寄りバランスが良くなります。
そのため、7画目の書き始め位置を右よりにしましょう。
「新」の場合7画目と13画目の縦線を長く書くのですが、13画目の方をより長く書き、7画目の下に少し余白を作る方が美文字に仕上がります。
「新」の部首は「おのづくり」といって右側の「斤」部分になります。
この「斤」の横線(新の12画目)の長さによって全体のバランスが決まると言われており、とても重要な部分です。
なるべく長く書くことを意識しましょう!
「年」を楷書で書くときのコツ
3本ある横線の間隔を等間隔に書くことで、2画目~3画目と3画目~5画目までの間隔(余白の大きさ)が統一されバランスが良くなります。
また、横線の長さは2画目と3画目が同じくらいの長さに揃えましょう。
楷書の均一感を強調するために、横線と横線の字間の大きさは比較的均一にすることがポイントです。
文字は一点を強調することにより、より美しく見せることができます。
複数ある横線の中で一番長い5画目を「長く太く書く」ことでメリハリのある文字となります。
この画は、文字の中で見せ場。家で例えると、柱の部分になります。そのため、ゆっくりと時間と圧力をかけて書きましょう。
各文字のポイントを押さえて綺麗な「謹賀新年」を書けるように練習してみましょう!
行書のお手本
行書は流れるように書くことで文字が躍動的に見えます。常に次の画のことを考えて書くことにより、一文字の中の繋がりがあるように見えます。
どの文字も点画を連続させすぎると余白が狭く見えてしまうため、一部だけ点画を連続させて書きました。
草書のお手本
草書は余白を充分にとることにより、安定した印象になります。
紙面上、作品構成をゆとりがあるように見せるためには、草書を使用することをおすすめします。
隷書のお手本
隷書は、扁平かつ水平な書体で、文字の中に「波磔」があるという特徴もあります。
本格的な書表現に挑戦してみたい方には、隷書がおすすめです。
篆書のお手本
篆書は完成が縦長の字形です。そのため、文字の背が高くてすっきりとした印象にみせたいときにおすすめの書体です。
書道アート風に書いた作品
書道アートの分野においては、「古典書道」の概念から一度離れることが大切です。
始筆や終筆、そして運筆の方法は、書道アートのときには従来の本格中国書法の書き方とは大いに変化します。この分野は賛否両論ございますが、書道初心者の方が筆文字に触れて、その成果を少しでも早く作品にして公表したい、というときにおすすめの分野です。
いかがでしたでしょうか。同じ書道の文字でも、書体が変われば文字の雰囲気も多いに変わります。皆様も、是非、様々な書体で書道を楽しんでみてくださいね。
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