筆耕士の仕事ってどんな仕事?~資格はいるの?年収はいくら?~
筆耕の仕事は美しく読みやすい文字を書くこと
筆耕は、筆やペンで美しく読みやすい文字を書くことによって報酬を得る仕事です。賞状や宛名書きをはじめ、結婚式の招待状、看板、熨斗、式辞、目録、卒業証書、表札など様々なものに文字を書きます。筆耕を仕事にしている人のことを「筆耕士」というのですが、筆耕士になるのに年齢制限はありません。また、本業ではなく副業として仕事をしている人も多くいます。
コンピュータの普及により、印刷文字に頼る場面が増えてはいるものの、今でも手書きの文字が必要とされる場面は多くあります。特にお祝いの場や贈り物をするときなど、丁寧に気持ちを伝えたい場面では手書きの文字が重宝されます。
筆耕の仕事に有利な資格は「賞状書士」や「賞状技法士」
筆耕の仕事を始めるのに、必ず取得しなければならない資格はありません。しかし、「賞状書士」や「賞状技法士」といった筆耕士の仕事をしていく上で必要な知識や技術を習得できる資格を取得しておくと仕事の受注にも繋がりやすくなります。
「賞状書士」や「賞状技法士」はいずれも賞状や挨拶状などの文字を美しく書くことができる技術・知識を証明する民間資格です。団体によって名称が変わるため、「賞状書士」や「賞状技法士」の他にも「賞状書法」という呼び方もあります。
「賞状書士」や「賞状技法士」の資格が取得できる講座は「がくぶん賞状書士養成講座 」、「たのまな賞状技法士養成講座 」、ユーキャンの「賞状書法講座」 、日本賞状技法士協会「賞状技法士養成講座」 などがあります。
筆耕に役立つ技術や資格を通信講座で取得する方法
がくぶん「実用賞状書士養成講座」
がくぶんの通信講座「実用賞状書士養成講座」では、賞状書士の実務に直結する技能を身につけることができます。テキスト学習→練習→課題提出→添削指導を受ける、という流れを繰り返しながら学習する講座です。
たのまな「賞状技法士養成講座」
ヒューマンアカデミーの通信講座であるたのまな「賞状技法士養成講座」では、書道道具の使い方や姿勢、綺麗な文字の書き方などの基本から学ぶことができます。書道未経験者の方でも安心して始めることができますね。ステップアップするとのし袋・年賀状宛名・封筒の宛名書きや賞状技法の基本なども学べます。
すべて表示
大きく分けると教材コースとDVD学習コースがあり、
- 3級対応コースは7種類42,680円(税込)~86,330円(税込)
- 2級対応コースでは2種類46,000円(税込) ~61,000円(税込)
からお好きなコースを選択できるのも魅力的です。
3級資格認定を受けると、「日本賞状技法協会」へ毛筆人材登録が可能となります。スキルやレベル、条件に応じてお仕事紹介を受けることもできます。
たのまな公式HPユーキャンの「賞状書法講座」
ユーキャンの「賞状書法講座」では、プロの賞状書士さんが選んだ実用性の高い道具を使って学ぶことができます。
すべて表示
- 標準学習期間は8ヶ月
- ライトテーブルなし38,000円(税込)
- ライトテーブル付き47,000円(税込)
賞状を書く上でとても便利なライトテーブル付きコースが人気です。標準学習期間は8ヶ月ですが、受講開始から最長2年までは受講期間を延長することができます。また、受講期間を延ばした場合にも添削指導や質問指導などの指導サービスを受けることができるため、忙しい方でもご自身のペースで学べます。
ユーキャン公式HP日本賞状技法士協会「賞状技法士養成講座」
「賞状技法士」の資格は、日本賞状技法士協会によって主催・認定されています。3級・2級・準1級・1級のレベルがあり、3級~準1級までは日本賞状技法士協会の「賞状技法士養成講座」を受講し、修了課題を合格することによって取得できます。1級は毎年11月中旬頃に開催されている賞状技法士1級試験の合格によって取得されます。
すべて表示
賞状技法士3級を取得する方法と受講期間・費用
実践コースⅠ(前期と後期)、実践コースⅡ(前期と後期)の全過程を学習後、3級認定試験を受け合格すると取得できます。
- 受講期間:12ヵ月
- 賞状技法士3級取得までにかかる費用は合計142,400円(税別)です。
<内訳>(2021年1月現在) | |||
---|---|---|---|
入会金 | 5,000円(税別) | ||
実践コースⅠ(前期) | 33,000円(税別) | ||
実践コースⅠ(後期) | 31,000円(税別) | ||
実践コースⅡ(前期) | 33,400円(税別) | ||
実践コースⅡ(後期) | 30,000円(税別) | ||
認定審査料 | 10,000円(税別) |
賞状技法士3級を取得する方法と受講期間・費用
応用コース(前期と後期)を受講後、2級認定試験を受け合格すると取得できます。
- 受講期間:6ヵ月
- 賞状技法士2級取得までにかかる費用は合計78,800円(税別)です。
<内訳>(2021年1月現在) | |||
---|---|---|---|
応用コース(前期) | 36,800円(税別) | ||
応用コース(後期)) | 32,000円(税別) | ||
認定審査料 | 10,000円(税別) |
賞状技法士準1級を取得する方法
研究コース(前期と後期)を受講後、準1級認定試験を受け合格すると取得できます。
研究コース(前期) | 36,800円(税別) |
---|---|
研究コース(後期) | 33,800円(税別) |
認定審査料 | 15,000円(税別) |
賞状技法士1級を取得する方法
毎年11月中旬頃開催されている1級認定試験に合格し、認定料を支払うことで取得できます。
受験料 | 10,000円(税別) ※会員の方は7,000円(税別) |
---|---|
認定料 | 27,000円(税別) |
各団体によって学習期間やテキストに違いはあるものの、この資格が一番有利!といったものはありません。また、必ずしも1級を取得していないと筆耕士の仕事ができないというわけではありませんので、資格取得だけを目標にするよりも、役立つ知識や技術を納得のいくまで学ぶことを目標にした方がその後の仕事に活かすことができます。
通信講座以外で筆耕の技術を学ぶ方法
筆耕では、癖のない均整のとれた文字を書くことが求められます。まず、基本となる楷書を綺麗に書けるようになっておくことは必須です。その他にも様々な用途や紙の種類・サイズに適した書き方、文字の割り付けなどをマスターしておく必要があります。
学習方法としては、
- 筆耕を得意とされている先生に師事する
- 実用書道をカリキュラムに含む専門学校に通う
- 通信講座を活用する
などの方法があります。
筆耕を得意とされている先生に師事する
書道教室に通われている方は、先生や所属している協会・団体の繋がりから筆耕を得意とされている先生を紹介してもらう方法があります。自分で探す場合は、地域のフリーペーパーや広報誌に掲載されている教室情報をチェックしたり、「地域名×筆耕」などのキーワードでネット検索したりする方法もあります。
専門学校に通う
日本書道専門学校、日本書道藝術専門学校、関西書道専門学校、淡海書道文化専門学校などの書道に特化した専門学校では、実用書道として封筒の宛名書きや賞状書法を学べる授業が設置されています。
筆耕の仕事の探し方
筆耕の仕事を始めること自体のハードルは高くないものの、ある程度の実績が蓄積されるまでは、仕事を獲得するのがやや難しいことも想定されます。筆耕の仕事を得るには、
- 筆耕会社に所属する
- 筆耕業務を取り扱う人材派遣会社に登録する
- スキルシェアやクラウドソーシングのサービスを利用する
- 個人でホームページ等を用意して注文を受ける
などの方法があります。
専門学校や通信講座を利用して学習した場合は、学習後に受けられる就業サポートを活用するのもよいでしょう。求人誌や求人サイトから仕事を探すこともできますが、募集件数はそれほど多くないため、求人の出ているタイミングを逃さないことが大切です。
求人募集が多くなる時期
年賀状シーズンの12月や年度が切り替わる3~4月など、筆耕の繁忙期に合わせて募集が掛かるケースがよく見られます。筆耕士にとっての繁忙期は1~3月といわれているため、その時期は要チェックです。
百貨店や神社などの依頼元が直接人材を募集している求人の中には、筆耕専門職での募集もあれば、他の通常業務も行う前提で、「筆耕業務もできる方歓迎」という条件付きの募集もあります。業務の範囲をよく確認してから応募するようにしましょう。
求人募集が多くなる時期
筆耕士の仕事には平均年収が存在しません。どれだけ仕事の件数を得られるかで収入も大きく変わってきます。
- 宛名書きの場合は、ペン書きで20~30円/枚、毛筆で40~60円/枚。
- 賞状の場合は、名入れのみで数百円~/枚、全文で数千円~/枚。
筆耕では、このような料金設定が一般的です。
イベントなど指定の場所に筆耕者が出向く出張筆耕の場合は、日給1万円~といった給与設定がされることもあります。会社に所属する場合は、会社の給与体系にもよりますが、個人で仕事を受ける場合は数をこなせばこなすほど収入が大きくなっていく形になります。
「書道の技術や知識を活かした仕事がしたい」と考えている方にとって、筆耕の仕事は魅力的な選択肢の一つとなりますね。筆耕ならではの技術を学ぶことはもちろん、仕事をどのようにして獲得するかも考えた上で、挑戦されることをおすすめします。