書道を題材とした作品紹介
概要
書道をやるつもりはないけれど、とにかく何でもいいから書道に触れていたいと考えている方はいませんか?そんな方には漫画や映画作品をおすすめします。書道を題材とした作品は決して多くはありませんが、どれも素晴らしい作品です。書道をしたことはない人はもちろん、書道が好きな方もぜひ読んでみてください。
漫画部門
河合克敏『とめはねっ!鈴里高校書道部』
とある高校の廃部寸前の危機を迎えた書道部が舞台となった漫画です。帰国子女だが達筆な少年と、柔道の新鋭であり字が下手な少女という、共に書道初心者の二人が鈴里高校の書道部に入部して書に向き合うことで、次第に書道の魅力に引き込まれていきます。
この作品は、とにかく書道に関する知識が豊富です。作中では「臨書」や「蘭亭叙」といった書道用語が多く使われています。これらの知識が無いと読むのが難しいように思えますが、主人公も書道初心者なので漫画を通して一緒に知識を身に着けることができます。解説も漫画形式で行われるのでとても分かりやすいです。この他にも書道経験者なら思わずうなずけるようなコアな場面もあります。というのも、この漫画は有名な書道家(武田双雲)が監修しています。
参考書や書道教室のように堅苦しいのは苦手という方も『とめはねっ!』を読めばより気軽に書道を学ぶことができます。魅力的なキャラクターや、主人公たちの恋模様など青春漫画としても面白いので書道に興味のある方もない方もぜひ一度読んでみてはいかがですか。なお、『とめはねっ!』は2010年にテレビドラマ化されているので、ドラマに興味がある方はこちらも見てみてもいいかもしれません。
ヨシノサツキ『ばらかもん』
長崎県の五島列島が舞台の漫画です。主人公は優秀な書道家ですが、自分の作品を批評されたことで問題を起こしてしまい、頭を冷やすために五島列島に移り住むことになります。そこで島民たちとの交流を経て、書に大切なものは何かを見つけていきます。
基本的な書法の解説や、書家の説明といったような書道に関する知識やうんちくが書かれている場面は少なく、どちらかというと主人公の島での生活が中心に描かれています。
書道の描写も部活や稽古のような書の練習というよりは、子供たちに字を教えたり船に字を書いたりというような場面がほとんどです。主人公は島の子供たちの書写の宿題のお手本として書いた作品と、公募展に出品する作品とで書風を書き分けていて書道家らしく描かれています。(書壇に染まりきった若い書道家という主人公の人物像からも、今日の書道の公募展に対するある種の批判のようなものかもしれません)
主人公と島民との掛け合いが面白いので書道に興味が無くてもほのぼのとした漫画が好きな方にはおすすめの作品です。『ばらかもん』はアニメ化もしており、アニメでは書道家がアニメ内の書道作品を監修しています。こちらもおすすめです。
映画部門
『書道ガールズ!!わたしたちの甲子園』2010年
愛媛県のとある高校の書道部の生徒たちが書道パフォーマンスと出会い、それまで不況の影響で活気を失いつつある街の活気を取り戻すために書道パフォーマンスを開催する話です。
この映画は、愛媛県の高校生たちが書道パフォーマンスで地元の活性化を目指したという実話をベースに作られた作品です。現在も書道パフォーマンス甲子園として年に一回大会が開催されています。
青い青い空(『書道ガールズ 青い青い空』)2010年
それぞれ悩みを抱えた思春期真っ只中の少女たちが書道と出会い、書道を通して成長するとともに友情を深めていく青春映画です。
作中では筆に使われている動物の毛を説明している場面や、全員で書道のデモンストレーションを行う場面などがあります。
これらの作品をきっかけに、書道の世界に少しでも興味を持ってくれたら嬉しいです。