習字で「松」を書いてみよう!~楷書・行書・草書・隷書・篆書~

目次

「楷書」で「松」の書き方をマスターしよう!

楷書で描いた様のお手本

 楷書はみなさんが小学校などではじめに習う書体であり、書の基本です。履歴書や宛名書きなど正しくキレイな字“美文字”が求められる場でも使われている書体です。そんな楷書での「松」の書き方をまずは覚えましょう!

 美しい文字に見せるポイントは3つ!

その1:きへんの外側を広く、内側を狭くして中心に寄せる
内側を狭くして中心に寄せる

 1画目と2画目の交差する点は、1画目の横線の中心(右寄り)に配置しましょう。そうすることに文字が中心に集まりバランスが良くなります。

その2:3画目の下に余白をつくる。
3画目の下に余白をつくる。

 足元を広く見せるために余白を作ります。すっきりした印象になります。

その3:「公」の上下に余白をつくる。
「公」の上下に余白をつくる

 「松」は縦にスラっと伸びている偏と平べったい印象の旁から構成されている漢字です。

 旁部分である「公」が偏よりも縦長にならないように「ハ」の上部分と「ム」の下部分に余白をつくります。そうすることによって偏部分は縦長でスタイリッシュ、作り部分は平べったい印象になり、偏と旁が組み合わさった時にバランスが整います。

 ポイントを押さえて綺麗な「松」を書けるように練習してみましょう!

楷書での書き順を覚えよう

 「松」の書き順はこちらを参考にしてください。

楷書1画目
楷書2画目
楷書3画目
楷書4画目
楷書5画目
楷書6画目
楷書7画目
楷書8画目

「行書」で「松」の書き方をマスターしよう!

行書で書いた松のお手本

 行書は楷書を崩した書体で楷書よりも短時間で書けるという利点があります。

 手紙や走り書きでメモを取る時など、素早く書きたいときに使える書体です。

行書のポイントは
  • 見た目が曲線的になっている
  • 一部が省略して書かれている場合がある
  • とめ・はね・はらいの部分が変化する

 など

  • 「はらい」が「とめ」に変わっただけのほぼ楷書と同じもの
  • 複数省略して書いた草書に近いもの

 どちらも行書になるため、崩し方によって文字の雰囲気はガラリと変わります。

 行書の中でも、楷書寄りのものと草書寄りのものがありますので、お気に入りの書体を見つけていきましょう。

 今回は「松」をより速く書くコツをお伝えします。「松」を素早く書くためには、「点画を連続させる」書き方が一般的です。

行書での書き順を覚えよう

 「松」は通常8画ですが、今回は4画で書く時の書き順画像をご用意しました。

行書1画目
行書2画目
行書3画目
行書4画目

 始筆(起筆)は露鋒で楷書に比べるとやや軽く入ることで行書らしい柔らかみのある線が出ます。線を太くするか細くするかは好みになります。

草書・隷書・篆書の見本を見てみよう!

草書の見本を見てみよう!

草書

 草書は画数が非常に少ないため、文字に余白を作りたいときに有効的な書風であります。

 比較的、草書には曲線が多いため、その曲線の膨らみ加減がどのくらいであるかにより、表現の多様性を生み出すことができます。

 草書の中でもあまり崩しすぎていないものを選ぶと、書道を学んだことがない方でも解読がしやすくなります。

 偏と旁で構成されている漢字を草書で書く時は、線が重なってしまうと誤字と間違えられやすいため偏と旁の間に余白を作ることをおすすめします。

 「松」は偏と旁で構成されている漢字のため、「木」と「公」の間に余白をつくるように意識しましょう。

隷書の見本を見てみよう!

隷書

 隷書は日本の紙幣で使われている書体で、横平らな印象があります。

 お札を見てみると「日本銀行券」や「壱万円」といった文字が書かれていますよね。その書体が隷書です。

 他にもお店の看板やお菓子やお酒のパッケージなどにも使われているので、探してみると意外と身の回りで見つけることができる書体です。

 「松」はきへんに縦線があります。その縦線を短く書くことで文字全体が横平らな形になり、隷書らしい字形に仕上がります。

線の太さは古典によって異なるため、太くても細くても正解です。

篆書の見本を見てみよう!

篆書

 篆書はパスポートや印鑑(印章)で使われている書体で、漢字の中で最も古い書体です。パスポートの表紙に独特な字形で「日本国旅券」と書かれていますよね。その書体が篆書です。篆書は縦長の字形が非常に多く、線の太さも基本的には均一にします。滑らかで柔らかいけれども、一方で鋭い印象の書体でもあります。

 基本的な篆書は、太さを全て均一にしますが、作品制作の時は、あえて強弱を作ることにより、躍動感を見出すことができます。

 「松」は高さをだすために、縦線をやや長く書くことがポイントです。そうすることにより、篆書の特徴である背の高さを強調することができます。


 草書・隷書・篆書は、中国古典を学びながら、字形を覚えていきます。日本においては書道教室の先生が中国の古典を元にして臨書した作品をお手本にして学ぶことが多いです。