美術館に行こう

概要

 美術館というと、とかく絵画や彫刻作品に目が行きがちですが、意外にも書道専門の美術館や博物館というものは存在するのです。ここでは都内で書道作品を見るのにおすすめの美術館を紹介します。東京に訪れた際にはぜひ行ってみてください。

目次
美術館で鑑賞する人

東京国立博物館 台東区上野(公式サイト

 東京国立博物館は多くの文化財を保存している大きな博物館です。日本を中心に東洋の様々な国々の美術品や歴史資料を所蔵しています。常設展で奈良・平安時代の古代に書かれた仏教経典から近代の書画の展示を行っています。また、中国の書画や硯(唐硯)や筆筒のような道具の展示もあります。

 書道に限らず様々な重要文化財に指定された資料を見ることができます。博物館全体で4~8週間ごと、あるいは3~5か月ごとに定期的に展示物の入れ替えをしています。お目当ての物があったのに展示期間が終了してしまったということがないように、あらかじめ何をいつまで展示してあるのか調べてから行くといいでしょう。

日本書道美術館

 日本教育書道連盟が運営している書道を専門とする美術館です。主に江戸時代から明治昭和と近現代に活躍した有名な書家たちの作品を所蔵しています。特に、昭和から平成にかけての書道家の作品が多く保管されています。なお、この書道連盟は検定試験や公募展も実施しています。

台東区立書道博物館 台東区根岸

 台東区立書道博物館は書道に特化した博物館です。中村不折(1866~1943)という洋画家であり書家の収集した書道史に関わる数多くの資料が多く所蔵されています。中村不折の書作品はもちろんそれ以外にも文字が刻まれた甲骨や青銅器、写経まで様々なものが展示されています。

畠山記念館 東京都港区白金台

 畠山記念館は茶道中心に華道や書道といった日本の伝統文化に関する道具が所蔵されています。茶碗や釜といった茶道具が主に展示されていますが、古筆や墨跡といった書作品も多く展示されています。平安時代の書の名手である三蹟の一人、藤原佐理筆の『離洛帖』も畠山記念館に所蔵されています。

用語解説
  • 古筆……古人の筆跡で、主に室町時代以前の書を指す。茶道では巻物の一部を切り取って掛け軸にして茶道の席に飾ることもよく行われており、この掛け軸を古筆切という。
  • 墨蹟……直筆の書のこと、誰が書いたのか明らかになっているもの

相田みつを記念館 千代田区丸の内

 詩人である相田みつをの作品を集めた美術館です。『にんげんだもの』で有名な方ですね。実は相田みつをは書道にも精通しており、毎日書道展という公募展には7年連続入選を果たしています。だからこそ、独特な字で詩を書くことができたのです。

 まさに現代アートといったような作品が多く展示されています。書道の新たな切り口として、ぜひ見に行ってみることをおすすめします。

出光美術館 千代田区丸の内

 日本や中国の名筆が多く所蔵されています。有名なものだと平安時代紀貫之が書いたとされる『高野切第一種』という作品や、江戸時代松尾芭蕉の有名な俳句である「ふる池や…」の短冊も出光美術館に所蔵されています。特別展では平安時代から江戸時代にかけての作品をよく展示しています。