応募する書展を決めよう

概要

意を決して書展に応募しようと思ったものの、いろいろな書展がありすぎてどれに応募したらいいか分からずにお困りの方はいませんか。同じ書展でも開催する書道団体によって特徴も異なってきます。この項目では、全国的に有名ないくつかの書展とその特徴を紹介します。

目次
申込書類

読売書法展

読売書法会と読売新聞社が主催する公募展です。例年8月に開催されます。出品料は14,400円です。部門は漢字、かな、篆刻、調和体(漢字かな交じり文のこと。作者が漢字、かな、篆刻から系統を一つ選ぶ)の4部門があります。

読売書法展はやや正統派で、伝統的な書道を重んじています。したがって、入賞作品もそのような特徴を踏まえたものが多いようです。書風も中国式の書である唐様色が強いようです。

2018年の応募数は公募作品と役員作品合わせて約23000点に上りました。そのうち、約9000点弱が入選・受賞しています。 初めて応募する場合、まずは読売新聞の書法展事務局に依頼して出品票を届けてもらいましょう。応募期限もありますので、請求する前に期限をチェックしておきましょう。

毎日書道展

毎日書道会と毎日新聞社が主催する公募展です。毎年7月に開催されます。出品料は14,000円です。

漢字・かな・近代詩・大字書・篆刻・刻字・前衛書の7つの分野があります。このうち漢字とかなは文字数や和歌の数でさらに1類と2類に分けられるので、合計9部門です。

また、満23歳以下を対象とした「U-23」の部門もあります。(U-23での出品料は5,000円)

前衛書の部門があるという点からも見られるように、従来の書という枠にとらわれない作品が求められているようです。前衛書とは新しい書道の分野のことで、現代アート風の書です。字の丁寧さや正確さよりも芸術性が強い作品が好まれるようです。

毎年約30000点の応募があり、その中で入選率は約50%です。

日展(日本美術展覧会)

公益社団法人日展が主催する公募の美術展覧会です。他の書展と違う点は、美術団体が主催する展覧会である点です。したがって、部門も日本画・洋画・彫刻・工芸美術・書の5つの部門に分けられます。10月の下旬から12月の上旬にかけて開催されます。出品料は12,000円です。

例年書の部門の応募点数はかなり多く、美術作品を含めた応募作品の70%以上は書作品です。そのうち入選する確率は約10%前後です。入選するのがとても難しいかなり上級者向けの展覧会だといえます。日展での入選は多くの書道家の夢だそうです。

産経国際書展

産経国際書会と産経新聞社が主催する公募展です。前三者の書展とは違って、芸術を通じた国際交流を目的とした書展です。日本以外にもアメリカや中国、韓国やシンガポールといった海外からの出品が多いのが特徴です。7月の下旬ごろに開催されます。出品料は13,000円です。(U-23では5,000円)

漢字・かな・現代書・臨書・篆刻刻字の5つの部門があり、さらに文字数などによって細かく分けると合計12部門があります。2018年の応募数は1万点弱ほどです。

12部門の内訳
  1. 漢字部門
    • 20字以内
    • 21~200字以内
    • 201字以上
  2. かな部門
  3. 現代書部門
    • 少字数書(4字以内)
    • 近代詩文書(漢字かな交じり文)
    • 墨象
    • 刻書
  4. 臨書部門
    • 漢字
    • かな
  5. 篆刻・刻字部門

全国学生書写書道展

「全国書写書道教育振興会」が主催する学生向けの書道展です。全国の学生なら誰でも参加することができます。毛筆の部門の他にも書き初め展や、年賀はがきコンクール、ひらがな・かきかたコンクールといったものもあります。

出品料は幼児・小・中学生は650円、高校生・大学生は860円です(公募に半切で出品する場合は1,080円)。

最大の特徴は、公募部門の他に席書部門があるという点です。席書とは指定の会場に向かい、あらかじめ主催者側から出されているお題の文字をその場で書いて提出するという部門です。席書に参加できない方は公募部門で応募することができます。

以上の5つの書展の他にも、ここでは紹介していない地方の展覧会はたくさんありますので、書展は本当に多種多彩です。応募を考えている方は他にどんな書展があるのか一度調べてみてください。

※出品料は2019年5月現在のもの。今後変動する可能性があります