硬筆と毛筆の違い
概要
鉛筆と筆の違いをご存知ですか。意外にも筆を使って学ぶ書道と鉛筆やペンを使って学ぶ硬筆では、大きな違いがあります。ここでは、硬筆と毛筆の違いについて紹介しています。
硬筆って何?
硬筆とは筆記用具の分類のうち、毛筆の対義語としてペンや鉛筆などの先が硬いものの総称です。書写の分野では筆を用いないで行う書道のことを総じて硬筆といいます。毛筆よりも身近な筆記用具を使用するということで、子供だけでなく大人でも多くの人が硬筆を学んでいます。
硬筆と毛筆の違い
実は、硬筆と毛筆では全くと言っていいほど共通点がありません。次の二つの視点から毛筆と硬筆の違いを見てみましょう。
筆記用具の素材
硬筆はその名のとおり、ペン先が固い素材でできています。筆圧によって線の太さや色の濃さを変えることが難しいです。常に一定の太さ、濃さの線を書くことができるので非常に安定しているという点が最大の特徴です。これは裏を返せば、一つの道具で色や線に変化をつけられないということになります。
毛筆は先端が毛でできているので、書き味がとても柔らかく弾力があります。そのため点画に強弱の変化が付けられますし、どの程度筆を下ろすかによって書く線の太さを変えることができます。筆先が柔らかいだけに、筆の動きや力加減がダイレクトに紙に写ります。鉛筆では表すことのできない繊細な払いや目に見えない点画の繋がり(筆脈)を表現できるのは、毛筆ならではです。
学ぶ対象の違い
硬筆は同じ太さ・濃さの線を書きやすく、非常に安定性のある筆記具です。そのため、硬筆で書く時は毛筆で書く時ほどテクニックは必要としません。したがって、硬筆では書くテクニックよりも文字の骨格を学びます。例えば横画は右上がりに書く、字の中の隙間が均等になるように書く、といったように、字の形を知ることによって美しい字の書き方を身に着けていきます。
これに対して毛筆では、文字の構造以外にも筆の使い方を学びます。なぜなら、鉛筆にはない運筆法が毛筆にはあるためです。最も代表的なものは右払いです。硬筆では右払いも左払いも同じように書きますが、毛筆では明確に区別して書きます。字の形よりも、どのように筆を動かしたら思い通りの字を書けるようになるかを学びます。
書く文字の特徴を捉える硬筆、文字を書く筆の動きを捉える毛筆だと考えてください。
以上のように、硬筆と毛筆では大きな違いがあります。ですので、毛筆で書いているときと同じように硬筆を書く…というわけにはいきませんし、その逆も同じです。
硬筆は毛筆よりも身近で日常生活で使用する場面も多いはずです。書道のように専用の道具を一式そろえる必要もなく、手軽に始めることができるので綺麗な字を書けるようになりたい方は硬筆に挑戦してみてはいかがですか?