筆のお手入れ方法
大筆の洗い方
付着した墨をふき取る
使用済の半紙である反古紙(ほごし)やティッシュで筆についた墨をふき取ります。筆は使い終わったらすぐに洗うのが望ましいのですが、学校や書道教室などその場で洗うことが困難な場合は、先に墨をふき取っておくことが特に重要です。
穂先を十分に濡らす
水を入れた容器(洗面器や深めの空きビン等)の中に筆を浸すか、流水につけるかどちらでも構いません。根元までしっかりと濡らしましょう。これが甘いと根元で墨が固まってしまい、筆が割れたり、毛が抜けたりする原因となります。また、流水で洗う場合は穂の向きが水の流れに沿うようにしてください。無理に水に逆らうように洗おうとすると、筆が痛んでしまいます。
揉み洗いをする
指の腹で優しく揉んで、墨の色が出なくなるまで根気よく洗い続けます。ここでのポイントも根元です。特に重点的に洗いましょう。また、ゴシゴシと強くこすったり、筆を容器に押し付けたりして洗わないようにしましょう。
ある程度筆から出る墨の色が薄くなったら、水洗いは完了です。実は、墨を完全に洗い流すことはできません。ですので、十分にすすいだと思ったら僅かに墨の色が残っていても妥協はしましょう。
筆にシャンプーを使ってもいいの?
筆を洗う時にシャンプー等を用いていいのか?という声をよく聞きます。結論から言うと、あまり用いない方がいいです。シャンプーに入っている成分が筆の脂分を取り除いてしまい、筆がパサパサしてしまいます。
ですが、洗わないまま放置してカチカチに固まってしまった筆ならば、シャンプーで洗うことで復活するかもしれません。その際はぬるま湯に固まった筆を浸してからほぐし、シャンプーとリンスで洗ってしっかりとすすぎましょう。洗う前後で書き心地に変化は出ますが、柔らかくまとまりのある筆に戻ります。
水気を切って形を整える
水から筆を上げて指の腹で押さえて穂の水分を絞り出します。雑巾のように絞ってはいけません。ティッシュや反古紙で水分をふき取るとなお良いです。
水気を切ったら穂が円錐状になるように形を整えます。歪んだまま乾いてしまうとクセがついてしまうのできれいに整えましょう。
乾かす
筆架
風通しの良い日陰に吊るして乾かします。筆架という筆を乾かす道具を使うと便利ですが、持っていない方は画鋲や吸盤、S字フックなどに釣り紐の部分をかけて乾かしましょう。そうすることで、穂の部分が下向きのまま乾かすことができます。穂を上向きにした状態で乾かすと、落としきれなかった墨が根元の方まで落ちてきて根元で固まりやすくなりますので、乾かす時は必ず穂を下向きにしましょう。
なお、新品の筆についていた透明のキャップを洗った後に筆につけたり、濡れたままの筆を筆巻きに巻いたりして保管しないでください。筆巻きはあくまで筆を運ぶための道具なので濡れた筆を巻くと筆にカビが生える原因となります。かならず筆が乾ききってからしまうようにし、透明なキャップは筆を下ろしたら捨てましょう。
小筆のお手入れ方法
墨を取り除く
小筆は、大筆のように大量の水で洗うことはしません。反古紙や、水に濡らしたティッシュやスポンジを使って、毛の流れに沿ってふき取ります。あるいは先端だけを少量の水で洗いします。穂全体をしっかりと洗うと筆についている糊が取れてしまうので、あくまで軽くで大丈夫です。
形を整える
墨がふき取れたら、筆の形をきれいな円錐状に整えてお手入れ完了です。整え方は大筆と同じです。
筆のお手入れに関しては様々な意見があるので一概にこれが正しいと言い切ることはできないのですが、少なくとも筆を洗うこと自体は間違っていないので、しっかりと筆を洗って大切に扱っていきましょう。
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