三折法を意識して書こう
概要
勉強やスポーツにも基礎があるように、書道の世界にも基礎というものがあります。スポーツでいうフォームが姿勢と考えるならば、ボールの投げ方やパスの方法などに相当するものが筆法です。ここで紹介する三折法や永字八法といった筆法は、今後漢字やひらがなを書く際の基本にですので、覚えておきましょう。
始筆・送筆・終筆
筆を紙に下ろしてから一画を書き終わるまでの一連の動きにはちゃんとした名前があります。紙を筆に下ろす書き始めのことを始筆・起筆(しひつ・きひつ)、線の書き収めや点画の終わりのことを終筆・収筆(しゅうひつ)、始筆から終筆までの筆の動きを送筆(そうひつ)と言います。
三折法・三過折とは
折法(せっぽう)とは漢字で一画を書くときに生まれるリズムのことを指します。その中の一つである三折法・三過折(さんせつほう・さんかせつ)とは、漢字で一画を書くとき始筆、送筆、収筆の三つの動作が整っていることを指す言葉です。楷書という書体は三折法が顕著です。
三折法はよく音で表現され、「トン・スー・トン」と表されることが最も多いようです。これだけでは分かりにくいと思いますので、「一」という漢字を想像してください。紙に筆を置いた時が始筆(トン)、横に動かした時が送筆(スー)、最後に筆を止めた時が終筆(トン)となります。
二折法とは
三折法では始筆・送筆・終筆の三点であったのに対し、二折法は終筆が省略されていたり、曖昧になっていたりします。そのため終筆のことを「筆を抜く」や「ヌキ」と表現されることもあります。
音では「トン・スー」または「スー・グー」などと表現されます。楷書が成立する以前の書体では二折法が主流でした。
なかなかイメージが沸かない方は、厳密には違いますがひとまずは「とめ」を書くのは三折法、「はね」や「はらい」を書くのは二折法と考えるとわかりやすいと思います。
三折法で書くか、二折法で書くかによって、書いた文字が持つ雰囲気に大きな影響を与えます。特に始筆と終筆の書き方にはバリエーションがあり、自分が書きたい字を表現するためには使い分けが非常に重要です。これに関してはやや中級者向けの知識となりますので、初心者の方はとりあえず三折法、二折法という言葉を頭の片隅に入れておいてください。
基礎練習におすすめの字は漢数字です。一から十までの漢数字はシンプルでありながら様々な線を学ぶことができます。三折法や二折法を意識して書いてみてください。