ふじわらのゆきなり/ふじわらのこうぜい 藤原行成

 藤原行成ふじわらのゆきなりとは、平安時代中期の貴族で三蹟の一人。藤原行成の筆跡は「権跡ごんせき」と呼ばれる。これは、藤原行成が権中納言という地位にあったためである。小野道風の書風に影響を受け、和様書道を完成させた。

 和様書道の創生に尽力し、世尊寺流という流派の祖となった。その後行成の一族はこの流派の宗家となって世尊寺家を名乗るようになったが、室町時代後期に世尊寺家は断絶し、同時に世尊寺流も断絶した。

 代表作に中国唐代の詩人である白居易の詩集を書写した『白氏詩巻』や菅原道真の文章を書写した『本能寺切』などがある。現存する行成の真筆はすべて漢字で書かれたものであり、真筆と考えられる仮名の書は残されていない。