ほうぼう 鋒鋩

 鋒鋩ほうぼうとは、硯の表面にある目には見えないほどの大きさの凹凸のこと。墨を磨る際にやすりの役割を果たす。もともと鋒鋩は刀の切っ先を意味する言葉であったが、これは硯の原料となる石の中に含まれた鉱物が墨を磨り下ろすことからつけられたと考えられている。

 鋒鋩の鋭さや粗さなど、鋒鋩の状態が墨の出来を左右する。また、鋒鋩は何度も硯を使用するにつれてすり減ってしまい、墨の磨り具合も悪くなっていく。磨墨の機能を復活させるためには砥石をかけなければならない。この砥石をかけることを「鋒鋩の目を立てる」や「目立て」という。