へんたいがな 変体仮名

 変体仮名へんたいがなとは、平仮名の一種で現代では基本的に使われていないもの。現在の平仮名の異体字としても扱われる。平仮名が生まれた平安時代頃は、一つの音に対して複数の字体を併用していた。しかし、明治時代の小学校令という法令を改定する際に一つの音に対して一つの字体のみが対応するようになった。そこで採用されたのが現在も使われている50音(48字)であり、それ以外の形を持つ平仮名を全て変体仮名と呼ぶようになった。

 現代では変体仮名が使われることは滅多にないが、江戸時代以前は変体仮名の使用が通常であったため、ほとんどの古筆に変体仮名の使用が見られる。特に平安~鎌倉時代に書かれた和歌は同じ音を表す場合でも意図的に異なる変体仮名を用いていたことが見られる。

 書道ではかな書道を臨書する際には避けては通れない文字であり、創作の書道でも作品効果の一種として使われることが多い。