はたく 波磔

 波磔はたくとは、波のようにうねって見える線のこと波法はほう波勢はせいともいう。特に隷書八分隷)の横画の収筆部分に顕著に見られる。収筆部が三角形になるように、右上に軽く突き上げるように筆を抜く。

 もともと、「波」は左払い、「磔」は右払いを意味していたが、次第に隷書の横画で上に突き上げるように書く払いを「波」、上に引き上げるように書く右払いを「磔」というようになっていった。現在は横画に限らず波打つような右払いを総称して波磔と呼んでいる。基本的に波磔は一字に一回しか使われない。波磔が表れるようになった理由は定かではないが、筆記の対象がこれまでの金属や石から木簡に変化したためではないかと考えられている。