墨を磨ってみよう

目次

用意するもの

 墨を磨るために用意するものは、固形墨、硯、水差しの三点です。固形墨は自分が使いたい墨を用意しましょう。種類によっては色の出やすさや液体になりやすさ等が異なります。

 硯は天然石で作られたものを使用しましょう。プラスチックやセラミック製の硯では墨ができるまで時間がかかりすぎる場合があるので注意が必要です。鋒鋩という表面の凸凹が細かいものを選びましょう。(良い硯の見分け方は→「良い硯の条件と選び方」)硯の表面がすり減っていて墨の出来が悪いと感じたときは、硯に砥石をかけてください。  

水差しには急須のような形をした水注すいちゅう、壺のような形をした水盂すいう、容器に空いた穴から水を一滴ずつ垂らすことができる水滴すいてきの三種類があります。水差しはスポイトでも代用することができます。

墨を磨る手順

  1. 硯の平らな部分(陸)に水を少量垂らす
  2. 墨を軽く持って陸に当てる。墨は硯に対して垂直か斜めに持つ
  3. 水を垂らした部分に円あるいは「V」の字を書くようにゆっくりと墨を動かす
    ポイント:海に落とした墨を再び陸に掬い上げて磨ると墨の発色が悪くなってしまうので海に落とした墨は陸に戻さない
  4. 欲しい量の墨ができるまで1~4を繰り返す
  5. 水を少しずつ加えながら色を調節する
    ポイント:薄い墨を使いたいときは濃く磨ってから少しずつ水を加えて薄くしていく
  6. 使い終わった墨は反古紙で水分をふき取り、しばらく乾燥させてから箱の中にしまう

墨を磨るときの注意

 墨は天候に影響されやすいものです。夏場に墨を磨る際は特に湿気や気温に注意してください。前者は湿気を吸って墨が柔らかくなり、後者は磨った墨が短時間で腐ってしまいます。冬場は逆に乾燥で墨が引き締まり、硯が冷えて磨りにくくなります。

 水の温度も重要になります。固形墨に含まれている膠は18度以下になると固まる性質を持っているので、冷たい水を使って磨っても色が出ません。必ず20度以上の水を用意してください

 墨の出来は磨り方に左右されます。細かく磨った墨は澄んで明るい色になり、荒く磨った墨は濁って暗い色になります。墨と硯の組み合わせでも変化するので、この辺りの微妙な違いは実際に墨を磨ってみて感覚を掴んでください。

墨を磨っている間はどうすればいい?

 墨を磨っている間は無心になれとかよく言われますが、実際たくさんの墨を磨るにはかなりの時間がかかります。その間ずっと何も考えずに腕を動かし続けるのは大変ですし、なにより腕が疲れます。長時間何も考えずにいるのが苦手な方は、とりあえず書こうと思っている字や紙のことでも考えるのはどうでしょうか。ほかにも音楽聞きながら、テレビを見ながら磨るという手もあります。大切なのは、わざわざ硯に向かって墨を磨るという行為であり、手間を惜しまないという姿勢です。

面倒くさい…という方のために

 墨を磨るのはなかなか根気のいる作業です。固形墨を使いたいけれど長時間も磨り続けるのは大変、という方にオススメなのが墨磨り機です。固形墨と硯をセットするだけで機械が自動で墨を磨ってくれます。

 ややお高い買い物になりますが、機械がちょうどいい具合に磨ってくれますので興味のある方は購入を検討してみてはいかがですか。