彩墨(さいぼく)とは?(使い方や色墨・カラー墨について)

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鏡花水月
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彩墨とは

 彩墨(さいぼく)とは東洋で古くから使われている画材のひとつで、顔料※1と膠(にかわ)※2を練り合わせて造られた様々な色の墨のことです。別名、「色墨」や「カラー墨」「絵墨」などと表現されることもあります。

 墨と言えば多くの人は「黒」のイメージを持っていると思いますが、書道教室などで先生が添削をするために、朱色の色墨が使われていますよね。あれも彩墨の一つで、彩墨の中でも初期から使われていた色になります。

 ※1. 「顔料」とは色の原料のこと。鉱石や岩石が顔料の材料になりますが、近年は化学合成によって開発された新しい顔料が使われることが多いです。

 ※2「膠」とは、動物の皮などから採れるゼラチンを主成分としたものです。この膠は糊の役目があります。顔料を紙に定着させるにはこの膠のような糊が必要です。

 彩墨が使われ始めた初期の頃は黒と赤(朱色)だけでしたが、現在では非常に多くの色があります。彩墨は赤・青・黄・緑などはっきりとした色味のものが多いのですが、白を混ぜて彩度を低くすれば淡いパステルカラーを作ることも可能です。

 絵具のように彩墨同士を混ぜ合わせることで自分好みの色味を作ることができます。近年人気のある書道アートの分野でも使用されることが多くなってきました。

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彩墨の使い方

 彩墨の使い方は一般的な固形墨や墨汁と同じです。固形タイプの彩墨は陶器製の白い硯に円を描くように擦って使用します。この時彩墨をななめに傾けて擦ると擦りやすいです。黒い硯を使うこともできますが、色味がわかりにくくなるため白い硯をおすすめします

 液体タイプのものは容器に出したらすぐに使用することができます。使用する筆は剛毛筆・柔毛筆・兼毛筆など通常の書道で使われる筆を使用できます。

彩墨の選び方に決まりはない

 彩墨には固形タイプ液体タイプがあり、色も豊富なのでどれを買えばいいのか戸惑ってしまう人もいるかもしれません。

 固形タイプだと白い硯を用意したり、硯の手入れをしたりと手間がかかるため、準備や片付けを面倒に感じる場合は、水で薄めるだけの液状のカラー墨もおすすめです。液状タイプならプラスチック製の容器やパレットなどで手軽に書道アートを楽しめます。

 手軽にできるのは液体タイプですが、固形タイプの方が色の種類も豊富でラメの入ったキラキラ光る特殊な彩墨も販売されています。

彩墨を使った書道アートの書き方

 彩墨を使った書作品を作る時には色の濃淡を意識してみましょう。濃い色から淡い色までを使うことで、一般的な黒い墨とはまた違った色の奥行きがあります。また、混色したりグラデーションにしたり、モノクロの書作品にワンポイントで色を入れて華やかさをプラスすることもできます。

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グラデーション作品
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ワンポイント作品

 墨は最初に書いた線が浮き上がるという面白い特徴もあります。

 例えば、白い彩墨を使うとき、まず初めに白色の彩墨で文字を書き少し乾かした後、上から違う色の彩墨を塗ると、最初に書いた白色の文字が浮き上がってきます。この方法を使って文字や絵を書いてみると不思議な感覚を味わうことができるのでおすすめです。

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 書道アートにルールはありませんが、書作品にすることを心がけましょう。文字として成立していなければ書道ではなく、日本画、水彩画などに分類されてしまうからです。モノクロの作品では伝えきれない文字に込めた想いなどを、様々な色を使って自由に表現してみるのも楽しそうですね。