正しい筆の構え方

概要

 字を書く時に大切な体の部分は手だけだと思っていませんか。実は毛筆では手だけでなく、腕全体を使って書いています。そのため、筆の構え方が非常に重要になってきます。ここでは、あまり注意が向かないであろう筆の構え方や、腕のあり方について紹介します。

書道の正しい筆の構え方

 書道の正しい姿勢を覚えたら次は筆の構え方です。筆の構え方にはいろいろありますが、その中でも主流なのは次の三通りの構えです。それぞれに特徴と得意とする書体などがありますので、頭に入れておきましょう。

三種類の構え方

懸腕法けんわんほう

 書道では最も一般的な構え方です。肘を机から離して机と肘がほぼ水平になるように構えます。肘は脇に密着させず、拳1つ分くらいの隙間を作ります。このとき、肘を高く上げすぎていたり、脇にくっつけたりしていると肩に余計な力がかかってしまい、うまく筆を動かすことができません。

 肘や手首は固定されずに宙に浮いている状態なので、腕を自由に動かすことができるようになります。肩から手首までを使って大胆な筆運びをすることができます

提腕法ていわんほう

 提腕法では手首から肘までを机に付けた状態のまま筆を動かします。鉛筆で字を書く時とほぼ同じような構え方になります。肘はどっしりと机の上に置くのではなく、机に軽く触れる程度に置くことがポイントです。書く時は紙の上を滑るように腕を動かします。

 支えがある分懸腕法に比べると筆先が安定しますが、腕を固定している分書ける範囲が狭まります。大きな字を書くのには向きませんが、小さな字を書く時には有効です

枕腕法ちんわんほう

 紙を押さえている左手の甲の上に右手の手首の辺りを乗せて書く構え方です。作品に小さく名前を書く時のように左手を枕のように使って構えます。長い文を書く時は右手と左手を一緒にずらしながら書いていきます。

 毛先がブレることなく安定して書くことができます。小筆や筆ペンを使って細かい字や名前を書く時に適しています。何より右腕が墨で汚れる心配がありません。

 大きい字を書く時は懸腕法、小さい字を書く時は提腕法・枕腕法を用いるのが適していると言われていますが、基本的にどの構え方をしていても大丈夫です。

 なお、筆は必ず自分の目の前で動かすようにしてください。間違っても上体をひねって書くことがないようにしましょう。

筆の構え方との組み合わせ

 最後に筆の持ち方との組み合わせです。

  • 漢字・力強い字を書きたい→双鉤法+懸腕法
  • かな・繊細な字を書きたい→単鉤法+提腕法or枕腕法

この組み合わせがベストなので、ぜひ参考にしてみてください。