硯の選び方 素材の産地で選ぶ!

目次

唐硯と和硯

 墨や紙の項目でも説明したように、書道道具には日本製と中国製のものがあり、どちらも異なる性質を持っています。硯も同じように日本で作られた和硯わけん唐硯とうけんという二種類の硯があります。

 和硯と唐硯では硯の構造にさほど違いはありません。違いは原料となる石の違いです。中国と日本とでは風土はかなり異なりますので、採取できる石の色や模様も変わってきますし、同じ国内でも地方によってさらに細かく違いが出ます。

 硯で有名な土地は日本中国ともにいくつかあるので、代表的な硯を紹介します。

唐硯の種類

 唐硯は全体的に墨を磨りやすく、とても高価なものになります。唐硯には四大名硯と呼ばれる代表的な硯が存在します。

中国の四大名硯
名前 産地 特徴
端渓硯たんけいけん 広東省 鋒鋩の粒子が均一で細かい。紋様も多彩
歙州硯きゅうじゅうけん 江西省 端渓硯と並ぶ名硯。とても硬くて紋様が綺麗
洮河緑石硯とうがりょくせきけん 甘粛省 端渓硯にも劣らないほど墨の発色がいい。ほぼ絶滅
澄泥硯ちょうでいけん 山西省
(諸説ある)
石製の他に泥を固めて焼いたものもある
硯の写真

 これらの唐硯の中で最も主流なのは端渓硯です。端渓硯には割とお手頃な値段で買えるものから恐ろしく高いものまで様々な硯があります。また、紋様も多彩で二〇種類以上あると言われています。硯に現れる紋様も観賞用だけでなく実用的な価値が生まれるものもあります。(硯の模様については→「見た目で選ぶ!」を参照)この四大名硯は現代では石の採掘量が少なくなったので手に入れることが難しくなりつつあります。

 他にも羅紋硯らもんけん紅糸石硯こうしせきけんといった硯もあります。

和硯の種類

 日本の硯も負けていられません。硯の産地は日本全国に分布しています。その中でいくつか有名な硯とその特徴を簡単に紹介します。

主な和硯
名前 産地 特徴
赤間硯あかますずり 山形県宇部市 赤みを帯びた紫色・茶色
雄勝硯おがつすずり 宮城県石巻市 黒・暗い藍色。端渓硯と似た質を持つ
雨畑硯あめはたすずり 山梨県早川町 石の粒子が細かく墨が磨りやすい
土佐硯とさすずり 高知県幡多郡三原村 青黒い。金星という紋様も見られる

 和硯は唐硯に比べると紋様や色のバリエーションが少なく、派手さに欠ける点はあるかもしれませんが、どの和硯も滑らかで日本らしい落ちついた綺麗な色や模様をしています。

硯の写真2

おすすめの硯は?

 唐硯の中でのおすすめは文句なしに端渓硯ですが、安い物でも一万円という高級品なので初心者が練習用の硯として使うには少し勿体ないと思います。同じく唐硯の羅紋硯は一個五百~千円程で手に入れることができるので初心者の方にはこちらをおすすめします

 和硯だと赤間硯がおすすめです。一万円前後で購入することができます。