しゅくぼく 宿墨

 宿墨しゅくぼくとは、固形状の墨を磨って液体状にしてから時間が経過したことによって、品質的に劣化した墨を指す。磨った墨は時間が経つにつれて成分である煤と膠が次第に分離(加水分解)していく。その結果煤の分子同士でくっつくようになり、煤の粒子は大きくなる。この状態になった墨を宿墨といい、使うと紙に水だけが浸透して表面には煤が残ったような状態になる。

 習字では好んで使われることは少ないが、書道では作品効果を狙ってあえて宿墨を用いることがある。墨によって宿墨にするのに適しているものと適していないものがある。