ちらしがき 散らし書き

 散らし書きちらしがきとは、かな作品によく見られる構成方法で、色紙や短冊、手紙などに和歌や文章を書く時に、行に高低をつけて文字を散らすように書くこと。行の位置を整えずに、とびとびに書いたり高低を付けたりして文字を散らすように書く。他にも草仮名や平仮名、墨の濃淡や太い字と細い字を混ぜて書くなどの工夫がされる。散らし書きをすることで、作品に多様な変化をもたらすことができる。

 行頭や行末、左右の文字の位置を揃え、行がまっすぐになるように書く唐様の作品とは対照的な表現であり、日本独自で生まれた書風である。散らし書きの作品として代表的なものに平安時代に書かれた『三色紙』がある。特に『寸松庵色紙』は散らし書きの絶品といわれている。